増える開業医

勤務医の仕事はハードでイヤ

きつい仕事はイヤだが給料はたくさん欲しい!

開業医のほうがいい

あくまでも愚鈍に執拗に医者の仕事にやりがいを求めようという人は、今や残念ながらごく少数派といえます。本来の医者はこうあるべきだという典型的な医者が激減の一途をたどっていくのは致し方ないのかもしれませんが、非常に寂しい限りです。

しかしながら、基礎医学は、純粋に真理を追究する醍醐味はさておき、カテゴリー3の疾患をカテゴリー2に引き戻す上においても、最重要な分野であり、もっともっと莫大な資金とエネルギーを投資するに催するものではないかと個人的には思います。やはり基礎医学の分野も、待遇の悪さが足かせになっているのだと思いますが、成り手が少ないのが現状です。

また、命にかかわる、いわゆるクリティカル(致命的)な分野に携わる人材が、急速な勢いで減少しているのは先ほどから述べているとおりです。希望者そのものは決して少なくはないと思いますが、多くの問題が踏み込むのを思いとどまらせているのでしょう。

過労死、医療裁判…さまざまな原因もあろうかと思いますが、決して解決できない問題ではないように、思えます。

周りの医師たちも、この5年で数多くが次々に開業していきました。もちろんほとんどが転科組です。開業に踏み切ったときの年齢は40歳から50歳くらいと幅はあるのですが、共通しているのは「勤務医に疲れた」というのが1つの大きな動機だという点なのです。また、開業医になるほど多くはありませんが、勤務医から産業医や、生命保険会社の委託で診査する社医になる医者も少なくありません。中には、健康診断などのアルバイトで生活を立てながら、フリーター医として、好きな趣味に生きる者もいます。

もちろん、いろいろな選択があっていいと思うのですが、やはり命にかかわる疾患と向き合う医者が、もう少し快適に、第一線に長くいられるような、そんな環境を整えなければいけないはずです。今の医療機関の経営をめぐる現状や政府の姿勢を見ていると、そのうち命を救ったり病気を根絶したりする、医者としての本来の姿勢を忘れてしまうのではないかと、心配しています。

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