成功のシミュレーションで面接試験に合格

あがり症というコンプクレックス

面接試験をクリアーした例

自分の弱点を逆に生かす

あがり症克服のきっかけになる

小柄な26歳の男性Kさんは、小学校の教師を希望しています。子どもの頃から憧れていて、絶対に先生になると決めていました。

ですから大学も、二年浪人して希望の学校の教育学部に入りました。この浪人も、学力不足なんかではなく、 あがり症 で本番にとても弱かったためなのですが、それでもなんとか入学を果たした彼は、4年間、本当に真面目に勉強しました。

できれば僻地教育にたずさわりたいと思っていた彼は、小学校の先生になるために必要とされるピアノも20歳すぎてから習って熱心に練習しましたし、苦手な水泳にも通いました。生活科にも対応できるようにと、縫い物や編み物の手ほどきも受けたそうです。生活科にも対応できるようにと、縫い物や編み物の手ほどきも受けたそうです。

そして、いよいよ教員試験。大学入試のときにはあがり症が災いして苦渋をなめたKさんでしたが、今度はペーパー試験は難無くクリアしました。教員試験は自治体ごとに行われますので、複数受験したのですが、すべて合格という好成績でした。

ところが、大きな落とし穴がありました。最終試験に面接があったのです。いかに熱意があっても、面接で小学校教員には不適当と判断されれば、不合格になってしまいます。人を前にして緊張すると極端にあがってしまうKさんは、面接では自分でもなさけなくなるほどトンチンカンな受け答えばかりして、なんと、すべてから最終的に不合格という通知が届いたのです。

大変なショックを受けたKさんでしたが、小学校の教師になる夢はあきらめきれません。次の年に再度、受験することを決意したものの、また面接で失敗してしまわないために、なんとか あがり症 を克服したいというのが、わたしのカウンセリング・ルームのドアを叩いた動機でした。

Kさんは、なぜ人前に出るとあがってしまうのでしょうか。お話しするうちに、それはどうやら、彼の自分の体格に対する劣等感からきているように思えました。

確かに男性にしては背の低い、きやしやなからだつきで、スニーカーなども女性用サイズの物を利用しているのだとか。高校のときに思いきって告白した好きな女性に、たよりないことを理由に交際を断られたのも、心のキズになっているようでした。

でも、26歳になったいま、これからグングン背を伸ばすのは無理な話ですし、それになかなかしっかりした好青年なのです。

そこで、こんな風に視点を変えて考えられないかしら、と提案してみました。.

「背が低いのは、小学校の先生にとっては大きなメリット。子どもとつきあうには、子どもと同じ高さの目線で、と言うでしょう?子どもに近い目線で生活できるわけだから、小学校の先生はあなたにとって天職のようなものなのかもしれませんよ」

「あなたが肉体的なことで悩んだ経験は、同じような悩みを持った子どもに接するときにきっと役立つと思う」

「たくさんの女性にもてるよりも、たったひとり理解しあえる女性に出会えるほうが幸せよ。その人は、きっと背のことなんか気にしない人じゃないかしら。あなたのほうも、容姿なんかにとらわれずに女性を見るようにしなくてはね」

特に“小学校の先生は天職” という言葉は、彼を勇気づけたようで、後日、「目のさめるような思いがしました」と語ってくれました。

加えて、絶対にクリアしなければならない面接試験については、次のような成功のシミュレーションを毎日頭の中で、くり返してもらうことにしました。

  1. まず面接室に入るところから。スーツは何色? ネクタイは?1人ずつ名前を呼ばれます。どんな部屋?〜面接官は何人?あなたはどんな風に返事とおじぎをする?
  2. 面接が始まりました。質問にうまく答えています。思っていた通りの話題。あなたは余裕たっぶり、快調です。面接官の反応は〜
  3. 面接が始まりました。質問にうまく答えています。思っていた通りの話題。あなたは余裕たっぶり、快調です。面接官の反応は〜
  4. 面接が終わりました。おじぎをして退席します。立ち方は?歩き方は? ドアを閉めました。あなたはホッとした表情です。大成功!
  5. 数日後、郵便受けを開けると…合否通知の封筒が入っていました。ドキドキしながら封を開けます。目に飛び込んだ文字は「採用決定」。やったぁ…嬉しさがこみ上げます。

この成功の場面を、本当に体験したかのように何度もイメージするのです。願望ではなく、事実としてプラス・イメージを創造し、頭の中で体験をくり返すことで、本物の自信が湧いてきます。

反対に、絶対にしてはいけないことは、あがってしまったときの面接の場面を思い起こし、反省すること。たちまちマイナス・イメージがインプットされてしまいます。

それから自分より3つだけ年下で、3 cm だけ背の高い彼女ができました。もう、背が低いなんていうコンプレックスはなくなりました。

あがり症で初対面の人が苦手

ページの先頭へ