弱点を自信に変える

弱点を自信に変えることができれば強い

仕事でうまくできた女性の例

弱点がなくなれば怖いもの知らずに

仕事への応用

M子さんは、ある一流ホテルのフロント係の20歳代後半の女性です。好きで選んだ仕事ですし、男女の区別なく働ける職場環境ですので、家族や友人も「いい仕事につけてよかった」と喜び、彼女が悩んでいたことには気づきもしませんでした。

第一、M子さんは知的な美人で、性格も明るく凡帳面。誰からも好感を持たれるタイプで、ホテルのフロント係のように、接客をしながら情報処理を行う仕事にピッタリのように思えたのです。

M子さんの主な仕事は、予約の電話を受けて、お客様の希望するタイプや価格の部屋を国内外の 1000 以上もある客室の中から瞬時にセレクトして、予約を入れること。たとえば、景色のよい部屋にしてほしい、なるべく高いフロアにしてくれ、こんな雰囲気のインテリアの部屋を、ダブルで、予算はこのくらい…というお客様の要望にあてはまる部屋をすぐにピックアップしなければなりません。

いくらコンピュータで情報管理しているとは言え、お客様の言う微妙なニュアンスを受け止めての部屋探しは、人間の力に負うところが大きいのです。

もともとひとつのことにじっくり取り組むタイプで、責任感も強い彼女のことです。ひとつの結果を出しても、あとで、あれでよかったのかしら、こっちのほうがよかったのでは、と反省をくり返して心が休まりません。

なるべくお客様の要望にぴったりの部屋を選んであげたいという真面目さが裏目に出て、いつも自分の部屋選びの判断でよかったのかしら、という後悔の念にとらわれることになり、さらに大きなストレスをかかえこむ日々だったのです。

また、じつくり型のM子さんは「瞬時に判断する」ことが苦手で、それ自体がストレスの素。そして、とうとう電話のベルが鳴っても受話器をとれない、受話器をとれても声が出ないということが続いて、仕事ができなくなり、長期休暇をとって、わたしのところに相談にきたのでした。

いろいろとお話をした後で、「この仕事が好きで、ぜひ続けたい」というM子さんには、次のような自分の姿をイメージしてみること行いました。そして、毎日、なるべく細かくリアルにイメージすることをくり返しました。

「ホテルのフロントに立つM子さんは、今日も自信にあふれた微笑みを浮かべています。思いきって活動的に見えるショートヘアにしたところ、同僚の評判は上々で、心なしか以前より制服も似合うような気がします。

さきほどチェックアウトなさったお客様は、M子さんが予約を担当したのですが、帰り際に『すてきなお部屋をありがとう。気持ちよく過ごせました』と声をかけて行かれました。こんなとき、自分の仕事に誇りと満足感を感じます。

電話のベルが鳴ったので受話器を取ると、聞こえてきたのは常連のSさんの声でした。いつもの要望を確認した上で、希望の日時にリザーブできました。センスのよいSさんは、今度はどんなファッションでいらっしやるのかしら、と楽しみです。

また電話のベル。今度は家族での予約です。希望の日・希望のタイプの部屋はあいにくいっぱいだったのですが、別タイプの部屋に子ども用のエキストラ・ベッドを入れることで了承いただきました。この時期はどのホテルも混んでいて予約がむずかしいため、希望どおりの部屋ではなかったにもかかわらず、感謝されました。

子ども連れなので、宿泊客のプール利用割引きサービスについてもお知らせしたところ、他のサービス内容についても質問を受け、結局、当日のディナー・ショーの予約もいただくことになりました。

こんな風に、お客様にぴったりの部屋をリザープでき、喜んでもらえるサービスを紹介できると、本当に嬉しくなります。

毎日、電話のベルが鳴るのが楽しみでなりません

これがM子さんにイメージしてもらうことにしたストーリーのアウトラインです。長いようですが、実際に映像として心の中に思い浮かべるのは、2~3分といったところでしょう。

慣れてきたら、よりクリアなシチュエーションのイメージにするために、いろいろな要素を加えていくことにもしました。ただし、プラス・イメージの要素にかぎりますが…。

結果は、すぐに表れました。イメージに描いたとおり、髪をショートにしたM子さんは、2ヶ月後には自信に満ちた顔で職場に復帰することができたのです。

しかも、驚いたことに、この間のイメージ・トレーニングで頭の中に具体的な映像を自由に描けるようになっていたM子さんは、この手法を自分の仕事にうまく応用したのです。

つまり、1000 以上の客室の特徴を料金ランク別に写真のような映像イメージで記憶。実際の仕事の際に、頭の中のアルバムをパラパラとめくって、的確な予約を入れられるようになったのです。

予約の際にわたしをご指名くださる方や、紹介者がぐんと増えました。つい先日まで電話恐怖症だったなんて信じられません。もうすぐチーフに昇進できそうです。

あがり症で初対面の人が苦手

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