認知症について
脳の病気から心臓の病気まで大事な血管について
急増中の認知症について
血管の老化が病気の原因
アルツハイマー病の歴史
「アルツハイマー病の予防にコレステロールがよい」と言うと、大抵の人は驚きます。そして「うそ!?」という反応がほとんどです。「コレステロールは、心筋梗塞、脳梗塞などを起こす原因物質で、脳の血管に障害を起こすと聞いている。それがなぜ? 」というわけです。
さらに「そんなことを言って、もし心筋梗塞、動脈硬化になったらどうするのか」という危倶と怒りがまざった声が聞こえてきそうです。
コレステロールがある程度高くても問題がないという話をしましたが、さらに大事なことは、コレステロールを摂取しても、血中のコレステロール値はあまり上がらないということです。ですから、あまり食べ過ぎるのはよくないでしょうが、肉、マグロのような魚、卵を摂ることは決して危険ではありません。
このことは、決して誤った情報ではありません。 さて、研究者を驚かせたのはオランダのライデン大学の研究です。それは、1997年平均年齢89歳の642名の高齢者を対象に、10年以上の追跡調査の結果を報告しました。
研究は1986年の12月1日に始まり、1996年の10月1 日に終了したものです。 まず、コレステロール値が260mg/dl以上の人は、200mg/dl未満の人に比べ、アルツハイマー病になる率は半分になっています。また、コレステロール値の低い人は病気の死亡率が高く、逆にコレステロール値の高い高齢者は肺炎などの感染症で死亡する人が少なく、ガンになる人も多くありませんでした。この研究だけでなく、多くの研究がコレステロール値の高い高齢者にはアルツハイマー病が少ないことを示しています。
ではコレステロールを多く摂ると心臓や血管はどうなるのでしょうか?すでに述べたように、動脈硬化の血管壁にはコレステロールを多く取り込んだ泡沫細胞があります。これが非常に大きくなると、その部分で血管を傷害するような物質が出され、血管が破損し、そこに血小板などがついて血栓になることが知られています。