味噌汁を週に3杯以上飲めば動脈硬化予防に

味噌が体に与えるよい作用

味噌汁は週に3杯以上飲むと動脈硬化の進行が抑制される

みそ汁の摂取頻度と血圧との関連性

みそは、健康によい発酵食品である一方、高血圧の要因の1つとされる食塩を含む食品です。そのため、一般に漠然と「みそ汁は血圧を上げる」というイメージがあるようです。

しかし、これまでの研究では、みそにはむしろ血圧の上昇を抑える作用があることが示唆されています。また、高血圧患者を対象とした研究では、みその成分である大豆たんばく質には、「最大血圧」とも呼ばれる、心臓が収縮したときの「収縮期血圧」を低下させる作用があることも確認されました。

習慣的なみそ汁の摂取が血圧に与える影響を検証しました。調査対象は、2012年7月から2013年4月までに、愛媛大学附属病院の抗加齢ドックを受診した186名(男性別名・女性102名)です。

飲む習慣について聞き取り調査を行い、1週間の味噌汁の平均摂取量から参加者を3群に分けました。

  1. 味噌汁の摂取量が週2杯以下の群(69名)
  2. 味噌汁の摂取量が週3杯~6杯の群(61名)
  3. 味噌汁の摂取量が週7杯以上の群(56名)

そして、全員の上腕血圧と中心血圧を測定しました。上腕血圧はカフ(バンド)を巻いて測定するもので、中心血圧とは大動脈の血圧のことで、心臓や脳、腎臓など主要臓器に直接かかる血圧を意味します。通常、中心血圧のほうが、動脈硬化や臓器硬化や臓器障害、狭心症や心筋梗塞など心血管系疾患との感冷静が高く最近はこちらに注目が集まっています。

動脈硬化の指標にも差がでた

血圧測定の結果、味噌汁をあまり飲まない1群と味噌汁の摂取量が多い2群、3群の間で上腕血圧、中心血圧とともに差がないことがわかりました。

さらに、みそ汁の摂取が動脈硬化に及ぼす影響についても調べました。参加者全員に、頚動脈の血管の様子を超音波で観察する頚動脈エコー検査を行い、「内膜中膜厚」を計測したのです。これは、頸動脈の血管壁を構成する、内膜と中膜の部分を合わせた厚さを計測した数値で、動脈硬化の重要な指標の一つです。全身の血管の動脈硬化の進行程度と比例して、この値も厚くなることがわかっています。

みそ汁の摂取量が少ない1群と、みそ汁摂取量の多い2群+3群を比較した結果、2群+3群では、内膜中膜厚が低い数値になりました。みそ汁の継続的な摂取で、動脈硬化の進行が抑制された可能性があると考えられます。

動脈は加齢とともに血管壁が厚く、硬くなり柔軟性が失われます。さらに、血管の内壁にコレステロールなどが沈着して、血液の通り道が狭くなっていきます。

これが動脈硬化です。動脈硬化により、血管が詰まったり破れたりすると、脳梗塞や脳出血、狭心症や心筋梗塞、大動脈痛、腎臓の機能低下など、さまざまな病気をもたらします。

研究結果から、みそ汁を毎日飲む習慣に、動脈硬化の進行や生活習慣病を抑制する可能性があると考えています。高血圧は、動脈硬化の危険因子の1つです。動脈硬化の進行を防ぐ意味でも、血圧のコントロールが重要視されています。

塩分を過剰に気にするあまり「健康のためにみそ汁を控えている」人もいるかもしれません。しかし、先に述べたとおり、みそ汁を飲んでも、中心血圧には影響がないことが確認されました。こうした研究結果は、「みそ汁は、血圧には影響を与えずに、健康に役立つ食品である」ことを証明。

味噌の歴史と7つの食効 | パワー

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