放射線防御にも味噌汁が効果的

味噌が体に与えるよい作用

放射線の防御にも味噌汁が効果

広島・長崎の被爆者もみそで助かった

現在、福島の原発事故による放射線の影響を心配されている人がいらっしやると思います。放射線の影響は、長い潜伏期間を経てガンや白血病、寿命の短縮などを引き起こすので、決して楽観視はできません。

ところが、「みそ」には、こうした放射線障害から体を守る働きがあります。マウスを使った実験では、みその放射線防御作用の実験もさまざま行われてきました。

まず、マウスを3つのグループに分け、みそを混ぜたエサ(A群)、みそと同濃度の食塩を入れたエサ(B群)、普通のエサ(C群)を1週間与えた後、放射線(Ⅹ線)を照射し、その35日後に解剖しました。

B群やC群のマウスでは、放射線障害のせいで小腸の細胞の増殖がストップしていました。しかし、A 群のマウスでは、小腸の多くの細胞に分裂して、組織が再生していたのです。

放射線を当てた後に味噌を混ぜた餌を与える実験も行いましたが、このおうな結果は見られませんでした。

つまり、事前にみそを食べていると、強う胃放射線を浴びたときの障害から体を防衛することができるとわかったのです。

みそを混ぜた餌と普通の餌を与えたマウス各10匹に放射線を照射し、生存期間を調べる実験も行いました。すると、Cの餌を食べていたマウスは18日目に全滅してしまったのに対して、みそを食べていたマウスは18日目にも20%が生き残ったのです。

みそを混ぜた餌と普通の餌を与えたマウス10匹に放射線を照射し生存期間を調べる調査も行いました。

普通の餌を食べていたマウスは28日目に全滅したのに対してみそを混ぜた餌を食べていたマウスは18日目にも20%が生き残ったのです。

味噌汁を飲む人ほど生存率が高い

では、みそのどの成分が、放射線防御に効果を発揮するのでしょうか。

動物実験の結果がそのまま人に当てはまるとは言いませんが、広島・長崎で被爆した人の症例を見ると、味噌汁を取っていたことで被曝の発症を防ぐことがが原爆症の発症を防ぐことにつながったのです。

有力な候補が、みそを褐色にするメラノイジンという色素成分です。マウスにメラノイジンを含むエサを与えると、放射線照射後も小腸の細胞の再生が活発に保たれることがわかっています。

ただし、同様の結果は、みそから抽出したメラノイジン様物質(メラノイジンとよく似た働きをする別の成分)でも確認されたので、みそに含まれる複数の成分が関係していると考えられます。

さらに、みそにはガンから体を守る働きも確認されています。例えば、マウスを用いた動物実験では、胃ガン、肺腺ガン、肝ガン、大腸ガン、乳ガンなどの発生を抑える効果があることが確かめられています。乳ガンに関しては、国立がんセンター研究所が興味深い報告を行っています。

みそ汁を1日1杯未満しか飲まない人の乳ガンリスクを1とすると、1日3杯以上飲む人の乳ガンリスクは0.6 。つまり、みそ汁を1日3杯飲むことは、乳ガンの発生率を40%も軽減することにつながるのです。胃ガンについては、みそ汁を毎日飲んでいる人は、めったに飲まない人よりも、胃ガンによえきがくる死亡率が低いことが、疫学調査(集団を対象に病気の原因や発生状態を調べる統計的調査)で明らかになっています。

胃ガンのリスクは食塩の摂取量と深い関係があり、1日当たりの食塩摂取量が多いほど、胃ガンの死亡率は高くなります。これは、高濃度の塩分が胃の粘膜を傷つけるためと考えられています。みそは食塩を含む調味料であるにもかかわらず、みそ汁を多く飲んでいる人ほど胃ガン死亡率が低いのは、不思議なことに思えるかもしれません。

降圧剤よりも食事に注意するのが基本

その理由を、発酵と熟成の過程で、食塩がみそに含まれるほかの物質と結合し、単純な食塩(精製塩)とは異なるものへと変化するためではないか、と考えています。
みそに含まれる有効成分や、人体への健康作用の全貌については、まだ未解明な部分がたくさんあります。しかし、みそは約1300年前から食されてきたなじみ深い調味料であり、「体にいい食べ物」であることは経験的に知られています。みそに秘められた健康パワーや日本人の食生活の知恵を、改めて見直すべきでしょう。1日1~2杯程度のみそ汁を飲むことが効果的です。

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